肩こり・腰痛は怖い病気のサインかも

 肩こり・腰痛の原因は、ほとんどは加齢や悪い姿勢、生活習慣ですが、中には怖い病気のサインであるものもあります。ただの肩こり・腰痛と思って放置していると思わぬ病気だったという危険性もあります。肩こり・腰痛の他に気になる症状が伴うときには、自己判断せずに医療機関を受診することで、思わぬ病気の早期発見につながります。怖い病気でも早期発見をすることで、完治や症状の軽快に結びつけることができます。

 今回は、具体的に肩こり・腰痛にはどのような怖い病気があるのかを説明していきます。

目次

1.肩こりが症状である怖い病気
2.腰痛が症状である怖い病気

1.肩こりが症状である怖い病気

①狭心症・心筋梗塞

 狭心症とは、冠動脈という心臓へ血液を送るための血管が狭くなることで、心臓の筋肉への血流量が低下し酸素が不足することでおこる病気です。冠動脈がふさがり、心臓の筋肉へ長時間血液が届かないと、心筋が壊死を起こしてしまいます。この状態を心筋梗塞といいます。

 狭心症・心筋梗塞の自覚症状は、急いだ動作をしたときに生じる左側の胸部痛や息切れですが、関連痛という心臓とは別の場所が痛くなることがあります。肩こりを突然感じて突然消える場合や、胸の締め付け感を伴う肩こりの場合は注意が必要です。

 狭心症・心筋梗塞の主な原因は、高血圧と動脈硬化です。これらは生活習慣病であり、日常生活の改善が不可欠となります。

②頸椎椎間板ヘルニア・頚椎症

 首は頸椎という7の骨で構成されています。その頸椎同士の間のクッションの役割をしているのが椎間板です。椎間板の中にある髄核という組織が外へ飛び出して神経を圧迫することで様々な症状を引き起こすのが椎間板ヘルニアです。頸椎の椎間板の間が狭くなり、圧迫によって骨がとげのように変形することで、神経を刺激し、首や肩の痛みを発症するのが頚椎症です。

 首の痛みや肩こりに加えて、手のしびれや首をそらす動きが制限されるようになってくると要注意です。重症化すると、手の感覚がなくなったり、下半身にまで麻痺などの症状が出現することがありますので、そうなる前に病院を受診しましょう。

③腫瘍

 肩周辺の骨自体に腫瘍ができる場合や、別の場所にがんができてそれが骨に転移している場合、肺などの肩に近い臓器ががんになり、神経を刺激して肩こりの症状が出ている場合などがあります。

 徐々に症状がひどくなる場合や、首や肩を動かしていないのに痛む場合は、病院を受診して検査をするようにしましょう。

2.腰痛が症状である怖い病気

①脊椎腫瘍・脊髄腫瘍

 脊椎腫瘍とは背骨にできるがんのことです。脊椎に腫瘍ができる場合、多くは肺がんや前立腺がんなどの他の臓器にできたがんの転移ですが、初めから脊椎のがんができることもあります。脊椎にがんができると、激しい痛みが生じ、がんの位置によっては、下半身の麻痺や排尿・排便障害がおこることもあります。痛みが強く、体重減少や食欲低下などの全身症状が出現している場合は注意が必要です。

 脊髄は脊椎(背骨)の中を通る、神経の管です。脊髄腫瘍は良性のものが多く、症状として長期間続く慢性的な腰の痛み、下半身の麻痺や排尿・排便障害がおこることがあります。

②化膿性脊椎炎・脊椎カリエスなどの感染症

 化膿性脊椎炎や脊椎カリエスは感染した細菌が血流によって脊椎(背骨)に運ばれてくることで化膿する病気です。

 化膿性脊椎炎は、腰や背中の激痛や高熱などの症状が出現します。脊椎がつぶれたり、脊髄のまわりに膿がたまって神経が圧迫されることで、下半身に麻痺が生じることがあります。

 脊椎カリエスは、化膿性脊椎炎に比べると腰の痛みは弱いですが、ゆっくりと進行していきます。微熱や食欲不振、倦怠感などの症状も伴います。

 どちらの病気も背中をたたくと痛みが増すことや、半年以上も腰痛が続くことが特徴です。

③腰椎椎間板ヘルニア

 頸椎と同様、腰椎(腰の骨)の間のクッションの役割をしている椎間板の中にある髄核が外へ飛び出して、神経を圧迫することで様々な症状を引き起こします。腰痛や下半身に痛みやしびれが出現し、足に力が入らなくなります。重いものを持つと痛みが強くなったり、背骨がどちらかに曲がったりすることがあります。

④腰椎圧迫骨折

 高齢者や女性に多い骨粗しょう症が主な原因となって、弱い外部からの圧力によって腰椎が骨折してしまうものです。また転倒などの強い外部からの圧力によって骨折した場合は、脊髄の損傷を伴うことがあり、その場合は下半身の麻痺などの症状も出現します。

⑤消化器系の病気

 胃潰瘍・十二指腸潰瘍、膵炎、胆石、胆嚢炎・胆管炎、肝炎、消化器のがんなどによっても腰痛が出現することがあります。特に膵炎や膵臓がんは腰痛を調べていて発覚することが多いです。腹痛や血便、吐き気、食欲不振、体重減少などの消化器症状や全身症状が出現しているときは注意が必要です。

⑥泌尿器系の病気

 尿路結石、腎盂腎炎、水腎症などの泌尿器系の病気でも腰痛が出現します。激しい腰痛のほかに、排尿時の違和感やトイレが近いこと、血尿が出るなどの排泄時の異常や、発熱や食欲不振などの全身症状がある場合は注意が必要です。尿路結石は激痛を伴い、腎盂腎炎は高熱が出ます。

⑦婦人科系の病気

 子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などの婦人科系の病気でも腰痛が出現することがあります。これらの病気は、腹痛や発熱が主症状で、腰痛は随伴症状となることが多いです。

⑧循環器系の病気

 腹部大動脈瘤、腹部大動脈解離などの循環器系の病気でも腰痛が出現します。大動脈瘤とは、大動脈という体の中で最も太い血管にこぶができる病気で、大動脈解離は大動脈が裂ける病気です。

 腹部大動脈瘤は、自覚症状がないまま大きくなり、大きくなるとやせている人だとこぶが外からでもわかるようになったり、持続的な腰痛が出現したりします。腹部大動脈解離は何の前触れもなく、突然胸のや背中、腰の激痛と共に起こります。

 腰痛が出現するほどの大動脈瘤も、大動脈解離もきわめて、大動脈破裂の危険性が高い状態であり、死亡率も高くなります。突然の激痛の場合には救急車を呼んで医療機関を受診する必要があります。

 肩こりや腰痛の大半は、危険性が高いものではありません。しかし、肩こりや腰痛だけでなく、手足のしびれや、発熱、その他全身の症状が伴う場合には、他の重大な病気が隠れていることがあります。ただの肩こり、腰痛だと自己判断するのではなく、長引く痛みや痛みに伴う別の症状がある場合は、医療機関を受診し適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

この記事を書いた人:

ookawa

国立大学医歯薬学保健学研究科卒業、看護学修士号取得。

看護師国家資格、保健師国家資格取得。

現在は、2人の子どもを育てながら、看護学博士号取得のため勉強中です。