肩こり腰痛のウソ/ホント

肩こり腰痛のウソ/ホント

肩こり・腰痛の共通するところは、慢性的に持続する不快な鈍痛だと言えます。

一般的にありふれた症状でありながら、命の危険を感じさせるほどの病態ではないので、医療機関で非常に軽視されてきた分野でもあります。それにより多くの間違った認識が存在します。

一番多い間違いは、頸椎、腰椎、骨盤のズレ・歪みなど痛みが骨格系に起因するとする説です。それらを改善する方法として、カイロプラクティック、整体、骨の矯正などが一部でもてはやらせてきました。ですがそれらは全て医学的根拠がなく、厚生労働省でも否定的です。骨の役割は、内臓を支え、身体の支柱になり、筋肉の収縮により受動的に運動することです。この受動的な運動が骨ならば、能動的な運動は筋肉なのです。ここがポイントになります。

筋肉(骨格筋)は全体重の40パーセントを占めています。

筋繊維の束を筋肉、筋肉を覆う膜を筋膜、筋肉の両端を腱といいます。筋肉・筋膜・腱を合わせて軟部組織と呼ばれます。人間が活動したり姿勢を維持できるのは、筋肉が能動的に激しく収縮・緊張することにより可能にしています。そして痛みを感知する受容器は筋肉、筋膜、腱などの軟部組織に多く存在しています。肩こり・腰痛で感じる不快な鈍痛は骨ではなく筋肉(軟部組織)から発生しているのです。疲労による筋肉の微小損傷、引きつり、けいれん、硬結、血流不足などが主原因です。

ですから解決方法は、筋肉の緊張を緩め、血流を改善することです。骨格の歪み・ズレとういのは間違った認識ですから、骨格構造の変化に対して徒手でアプローチしても効果は期待できないのです。

肩こり腰痛のメカニズム】

一般的に痛みは、急性痛と慢性痛に分けることができます。

急性痛は、強い外力が急激に加わることで発症します。たとえばスポーツ中のアクシデントや転倒、何かにぶつけたり、高いところから落ちたりなどです。

どの場合も、痛めた場面を思い出せるケースが多いのが急性痛の特徴の一つです。そして損傷部位は軟部組織(筋肉・筋膜・腱)だけでなく、靭帯や骨、軟骨まで及ぶこともあります。損傷が軟部組織だけに限定され、程度が軽ければ数週間で治癒するのが通常です。

一方、慢性痛は3か月以上続く痛みを意味します。多くの場合は、弱い外力に長時間さらされることにより発症します。これが肩に起これば肩こり、腰に起これば腰痛の原因になります。弱い外力というのは、日常生活の中で、長時間の姿勢の維持、軽作業、重い荷物を持って歩くなどです。この状況が続くと筋肉中の血流が阻害され、柔軟性が低下し筋繊維が硬くなっていきます。それを受容器が感受し神経線維に伝わり、脊髄から脳に伝達されます。すると脳からの指令により、受傷部位の範囲を拡げないようにするため、筋肉をさらに硬化させ身体を守ります。これが筋肉の局所的に硬くなった状態、すなわち“こり”です。硬くなっているのでスムーズな収縮ができず、不規則な細かいけいれん(スパズム)を起こし痛みが増悪します。

慢性痛の一番の問題は、脳が関与してくることです。痛みの情報が脊髄から脳へ3か月以上も絶えず入力されるので、悪い状態を覚えてしまうのです。徹夜明けなど睡眠不足の状態に肩こり・腰痛を強く感じるのは、脳がリフレッシュされていないためです。ですから“こり”の改善の大きなポイントの一つは睡眠なのです。

朝/夜のストレッチ】

・ストレッチの種類

  • スタティックストレッチ(静的ストレッチ)~関節を静かに伸ばす通常のストレッチ
  • ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)~関節を前後に動かしたり、回したりするストレッチ
  • パートナーストレッチ(2人一組で行います)

ストレッチの目的は、柔軟性の獲得、関節可動域の拡大、筋温の上昇、血液循環の改善、筋緊張の緩和、疲労の軽減、リラクゼーションなどです。それぞれ目的に合った方法を選ぶことが重要です。

朝は寝ている間に筋肉が固まってしまっているため、無理に伸ばす①スタティックストレッチはお勧めできません。また睡眠中は命を守るために、内臓へ優先的に血液が集まっています。対照的に筋肉は血流不足の状態に陥っています。そこでゆっくりと動かす②ダイナミックストレッチを行うことで、筋肉中の毛細血管へ血液を送れるようになり、筋温が上がりこれから活動するための準備が整います。首を回す、肩を回す、腰を回す、膝を回す、屈伸運動などをゆっくりとしたペースで小さな動きから徐々に大きな動きへ移行していくイメージで行ってください。

夜は日中の活動による肉体的、精神的な疲労の軽減を目的に静的な①スタティックストレッチがよいでしょう。特に重力の影響を受けやすい背中、腰、足を重点的に伸ばすと爽快感が得られ質の良い睡眠にも繋がります。注意点は息を止めずゆっくり呼吸をしながら伸ばすこと、伸ばされている筋肉に張りを感じるポイントで静止し、痛みを感じるほどには伸ばさないことです。家族がいる方は、2人一組で行う③パートナーストレッチも有効です。この場合はパートナーにゆっくり押してもらうスタティックストレッチになります。一人で行うよりも、全身をリラックスでき、伸ばされている筋肉を意識しやすいのが特徴ですが、パートナーは無理にストレッチさせ過ぎないような注意が必要です。