
学生時代に比べて、明らかに体力が無くなったと感じている方は多いのではないでしょうか。集中力が続かない、すぐに眠くなる、やる気が出ない、いつまでも疲労が抜けない、立ちくらみが多くなった、ちょっと階段や坂道を上がっただけで息が切れるといったことに心当たりがある方は、体力が著しく低下している可能性が疑われます。
目次
1.体力のピークは10代2.トレーニングの開始に年齢は関係ない
3.フィジカルトレーニングの効果
4.健康維持に役立つトレーニングの実践
5.トレーニング頻度
1.体力のピークは10代
握力を除いたその他の筋力、筋持久力、全身持久力、瞬発力、敏捷性(びんしょうせい)、柔軟性は10代中盤~後半でピークに達し、その後、緩やかに低下していきます。学校の体育でしか運動経験がないような方は、二十歳以降、徐々に体力が低下し60歳頃にはピーク時の3割~7割を失ってしまうのです!
上体反らし(筋力・筋持久力)

シャトルラン(全身持久力)

2.トレーニングの開始に年齢は関係ない
筋肉は常に分解・合成を繰り返しているため、いくつになっても運動により筋肉を作ることが可能です。若いころに比べれば成長速度は落ちますが、ご自分の体力レベルに合わせて定期的に行うことが重要になります。
アスリートは競技力向上、怪我の予防を目的にフィジカルトレーニングを行います。それぞれのスポーツ特性、ポジション特性、身体特性に応じて筋力、瞬発力、持久力、柔軟性などを養います。そのスポーツに必要な技術を支えるための体力と言えます。
一方、一般の方は、糖尿病、メタボリックシンドローム、心疾患、脳血管障害などの生活習慣病の予防と、家事・仕事をこなしながら充実した趣味を満喫できるような、生活の質の向上に焦点を当てフィジカルトレーニングを行っていきます。
3.フィジカルトレーニングの効果
- 生活習慣病の予防~基礎代謝上昇、摂取カロリー消費により肥満、糖尿病、高脂血症を改善
- 腰痛、膝痛の改善~筋肉量増加により関節の負担が軽減、関節の機能が高まる
- 心肺機能の向上~免疫力を高め風邪の予防、疲れにくい体作りにつながる
- 血行促進~冷え症、肩こりの改善
- ストレス発散~爽快感、達成感が得られ、日頃のストレス解消に
- 健康的な体型の維持~自己肯定感が生まれ、精神的に安定する
4.健康維持に役立つトレーニングの実践
(1)有酸素運動~ウォーキング:約30分(早歩き)
・心肺機能の向上、摂取カロリーの消費、全身血流量の増加
いつもより早いペースで、大股で約30分歩きます。通常歩行ではふくらはぎの筋肉がメインで働きますが、大股で歩くことで太ももの前側、後ろ側、臀部(でんぶ)、股関節まで動員でき、代謝が上がりダイエットにも役立ちます。

画像元:マタニティウォーキングとは
(2)有酸素運動~ランニング:約15分~30分
・心肺機能の向上、摂取カロリーの消費、免疫力を高める(免疫細胞が活性化)
心拍数は普段より少し早い程度。人と会話ができるくらいのペースで、じっとりと汗をかける時間を設定して走ってください。

(3)スクワット:15回×2セット(セット間の休憩は2~3分)
・下半身、体幹の筋力強化、筋肉量増加による基礎代謝向上、関節(膝・腰)の保護
手を前に、背筋を伸ばし肩幅よりやや広く足を拡げる(スタートポジション)→つま先と膝は同じ方向へ向け、おしりを後ろに突き出すイメージで、太ももが床と平行になるまで腰を落とす。
膝を曲げるというより、股関節を曲げる感覚です。

画像元:意外と知られていない…スクワットをするメリット6つ!
(4)フロントランジ:左右12回ずつ×2セット
・下半身の筋力強化、基礎代謝向上、バランス感覚を養う
両手を頭の後ろで組み、背筋を伸ばして立つ(スタートポジション)→右足を大きく前へ踏み出す。膝の角度が90度になるまで沈む。そして戻り左足も行う。膝とつま先が、真っ直ぐ踏み出せているか注意する。

(5) グッドモーニング:12回×2セット
・背筋力の強化、姿勢の維持、腰痛予防
椅子に浅く腰を掛け、腕を垂直にあげ手のひらを合わせる(スタートポジション)→息を吸いながら上半身を前に倒し、息を吐きながら戻る。背筋をしっかり伸ばすことを意識してください。

画像元:自宅でできる“美筋”トレーニング
(6)リバース・スノーエンジェル:15回×2セット
・肩~背中上部の筋力強化、基礎代謝向上、肩こり予防
両手、両足を伸ばしてうつ伏せになる(スタートポジション)→お腹を支点に両手足を浮かし、腕を伸ばしたまま半円を描くように足の方まで持ってくる。腕を回す際に、肩甲骨をギュッと引き寄せ筋肉を収縮させることを意識してください。


画像元:120秒の「脂肪燃焼サーキット」と「MCTチャージ」で、夏までに引き締まったカラダを作る!
5.トレーニング頻度
- 有酸素運動はウォーキング、ランニングのどちらかを週1~2回行ってください。
- その他のトレーニングは、週2~3回行ってください。
- 最初の3か月は慣れるための導入期ですので、回数よりもフォームの習得に重点を置いてください。
- 基礎代謝を高めるために、大きな筋肉に刺激が入る種目を選んでいます。その分、疲労回復に時間がかかることもあります。筋肉痛が残っていたり、体調が優れない時は無理せず、次の機会に行ってください。
この記事を書いた人:
若月隼

小学1年~大学まで野球部に所属。
2005年に鍼灸師免許取得後、日本オリンピック委員会医科学スタッフ、整形外科、脳神経外科に勤務し、その後、都内で鍼灸院開業。
現在は鍼灸院での治療業務の傍ら、アスリートから一般の方に向けたフィジカルトレーニングの指導も行っている。
趣味はスポーツ観戦と食べ歩き。