ギックリ腰は怖くない。発生時の注意点と対処法

 腰に突然走る激痛に、腰椎がずれた?神経が何かに挟まった?と何が起こっているのかパニックに陥った経験はありませんか?一度その痛みを経験すると、またいつあの痛みに襲われるのかと不安になってしまいます。そんな不安を解消し、腰痛を慢性化させないために、メカニズムと対処法をお話しします。

目次

1.安静はもう古い!?思い込みに囚われないために
2.注意が必要な腰痛
3.対処法

1.安静はもう古い!?思い込みに囚われないために

 ギックリ腰は、外力により急激に生じた筋肉の不規則的なけいれん(スパズム)です。発生のメカニズムは、筋肉の微小損傷→近傍の筋肉の過緊張→筋肉の短縮・硬結→不規則的なけいれん(スパズム)=疼痛です。

 ほとんどの場合は数日から数週間、長くても3か月以内に回復します。簡単に言えば、“けいれん”なのですから安静にするよりも、過度に恐れず出来る範囲でゆっくり動くことが大切です。なるべく日常生活を維持し、仕事を休まない方が早く治ることが確かめられています。

 しかし、現実には3か月を超えても痛みを訴え、慢性化するケースも少なくありません。痛みへの恐怖、不安、精神的ストレスが大きいと脳が悲観的になり慢性化のリスク因子となります。

 但し、ごく稀に重いけがや病が腰痛の影に潜んでいる場合があるので注意が必要です。

2.注意が必要な腰痛

  1. 転倒、強い打撲などの後に痛みが発生し、日常生活に支障が出るほどの場合→骨折の可能性。
  2. 65歳以上の方で、起床時に背中、腰に強い痛みを感じる場合→骨粗鬆に伴う骨折の可能性。
  3. 安静時に疼くような強い痛みが1か月以上続き、鎮痛剤を使用しても治まらない場合→脊椎の感染症、脊椎腫瘍、癌の骨転移、リウマチなどの可能性
  4. 腰痛に伴い、尿意や便意の感覚が鈍い。または足に力が入らない→ ヘルニアの可能性

 他にも脳や脊髄の病気の疑いもあるので、上記のような症状がある場合は医療機関で診てもらうようにしてください。とはいえ、ほとんどの腰痛は心配しなくてよい場合が多いです。恐れすぎず普段通りの生活を心掛けてください

3.対処法

  1. 安静は最小限に。2日以上の安静は痛みに対する恐怖心が増し、逆効果です。
  2. 出来る限り普段通りの日常をキープする。家事、仕事などを少しずつ行うことで全身の血流がよくなり、徐々にいつものパフォーマンスを発揮できるようになります。
  3. ゆっくりと腰を動かす。仰向けで膝を立て左右にゆっくり動かします。急激な緊張が少しずつ解け動けるようになります。できる範囲でいいです。

 慢性化させないためには、多少痛くても動くということが大切です。

 これは世界のガイドラインに沿った正しい治療の一環です。

 オーストラリアでは腰痛患者を減らすため、体を動かすことの大切さを、テレビを通して訴え、医療費を15パーセント以上減らすことに成功しています。

この記事を書いた人:

若月隼

 小学1年~大学まで野球部に所属。

 2005年に鍼灸師免許取得後、日本オリンピック委員会医科学スタッフ、整形外科、脳神経外科に勤務し、その後、都内で鍼灸院開業。

 現在は鍼灸院での治療業務の傍ら、アスリートから一般の方に向けたフィジカルトレーニングの指導も行っている。

 趣味はスポーツ観戦と食べ歩き。